Thursday, May 30, 2019

Unicorn Companies! ユニコーン企業を支える社会的な若さ

Social Youth Supports Unicorn Companies (Ex: GO-JEK)


Unicorn Companies in the World, with GO-JEK (online bike taxi in Indonesia)
世界のユニコーン企業(巨大スタートアップ企業)、インドネシア最大のユニコーン企業GO-JEKと共に

2019年04月に中国の深センに視察・訪問に行くにあたり、昨今のユニコーン企業のことをたくさん調べました。簡単な内容は、深センの視察訪問の一連の記事にてサッと触れました。ただ、深センに関することだけではなく、ユニコーン企業全般に関して、いろいろと思うところがあるので、頭から記憶が薄れないうちにこちらに残しておきます。

今回は、「ユニコーン企業を支えるのは社会的な若さなんだよなあ」、というのを自分のインドネシアでの経験と共に記します。


世界のユニコーン企業(巨大スタートアップ企業)


深センの視察訪問の一連の記事にも書きましたが、ユニコーン企業とは、未上場のベンチャー企業で、企業価値が10億ドル以上と評価されるものと定義されているそうです。創業して間もないのに、企業価値が著しく高い企業は稀です。そこから、「噂には聞くけど、そんなのを見た人などはいない。」という、ギリシャ神話の伝説の一角獣のような存在としてユニコーンの名前が付けられたそうです。

一言で言うと、ユニコーン企業とは巨大スタートアップ企業ですね。

こちらも再掲しますが、ユニコーン企業と呼ばれる企業の条件は以下の通りだそうです。

  • 企業価値が10億ドル(日本円で約1,100億円)以上
  • 起業・設立から10年以内(であることが多い)
  • 非上場
  • テクノロジー関連企業(である場合が多い)


さて、The CB Insights Teamという世界のユニコーン企業を調査している団体によると、現在(2019年05月)、世界にはユニコーン企業が346社あるそうです。その内訳は以下の通りです。

  • アメリカ:172社
  • 中国:89社
  • イギリス:17社
  • インド:16社
  • 韓国:8社
  • ドイツ:8社
  • イスラエル:4社
  • インドネシア:4社
  • フランス:4社
  • スイス:3社
  • オーストラリア:2社
  • コロンビア:2社
  • ブラジル:2社
  • 香港:2社
  • 南アフリカ:2社
  • エストニア:1社
  • カナダ:1社
  • シンガポール:1社
  • スウェーデン:1社
  • スペイン:1社
  • ナイジェリア:1社
  • 日本:1社
  • フィリピン:1社
  • ポルトガル:1社
  • マルタ:1社
  • ルクセンブルグ:1社


アメリカと中国に集中していることが分かります。一方で日本には1社しかありません。


時価総額50億米ドル以上のユニコーン企業


現在ある346社すべてのユニコーン企業を載せるのは難しいので、時価総額50億米ドル以上の企業をリストアップしてみました。時価総額50億米ドル、つまり約5,500億円以上というとてつもなく大きなスタートアップ企業が全部で47社もありました。


Company $(Billion)  Country
Toutiao (Bytedance) $75 China
Uber $72 United States
Didi Chuxing $56 China
WeWork $47 United States
JUUL Labs $38 United States
Airbnb $29 United States
Stripe $23 United States
SpaceX $19 United States
Epic Games $15 United States
GrabTaxi $14 Singapore
Bitmain Technologies $12 China
Samumed $12 United States
Global Switch $11 United Kingdom
Palantir Technologies $11 United States
DJI Innovations $10 China
One97 Communications (operates Paytm) $10 India
Go-Jek $10 Indonesia
Infor $10 United States
Guazi (Chehaoduo) $9 China
Coupang $9 South Korea
Coinbase $8 United States
Instacart $8 United States
DoorDash $7 United States
Slack Technologies $7 United States
Snapdeal $7 India
Tokopedia $7 Indonesia
Roivant Sciences $7 Switzerland
UiPath $7 United States
Tanium $7 United States
Magic Leap $6 United States
Manbang Group $6 China
Lianjia (Homelink) $6 China
EasyHome $6 China
Vice Media $6 United States
Robinhood $6 United States
Intarcia Therapeutics $6 United States
Hellobike $5 China
UBTECH Robotics $5 China
United Imaging Healthcare $5 China
BYJU'S $5 India
Bluehole $5 South Korea
Machine Zone $5 United States
Outcome Health $5 United States
Meizu Technology $5 China
SenseTime $5 China
Fanatics $5 United States
Social Finance (SoFi) $5 United States


日本の企業は1社もありませんでしたトップは中国です。以下、中国とアメリカがその名を連ねています。国別にまとめてみます。

  • アメリカ:24社
  • 中国:13社
  • インド:3社
  • インドネシア:2社
  • 韓国:2社
  • イギリス:1社
  • シンガポール:1社
  • スイス:1社


ご存知の会社はありましたか?

Bytedance(1位、中国)、Uber(2位、アメリカ)、WeWork(4位、アメリカ)、Airbnb(6位、アメリカ)などは日本でも名前はよく聞かれるかもしれません。Bytedanceは動画サイトtiktokの会社と言えば、お分かりかもしれません。

いずれも日本企業ではないので、日本とは直接馴染みのない企業が多いように感じます。私たち個別の日本人はましてやこれらの企業の展開するサービスに直接的に関わることがほとんどないので、ほとんどの会社を知ることがないでしょう。

しかし、こういった、私たち日本人が普段気にせず、知ろうともしていないところで、雨後の筍のようにユニコーン企業という巨大スタートアップ企業が世界中で勃興し続けているのです。私は初めてこのリストをはっきりと見たときに大きな衝撃を受けました。

グローバルな経済、グローバルな社会に対応して、世界中の様々なニュースなどをある程度キャッチアップしているつもりでしたが、ほとんど知りませんでした。

AI(人工知能)やFinTech(金融+IT技術)の漠然とした情報やニュース集めだけではなく、スタートアップの各論についてももっともっと注視して情報を得ていかなければならないのだと感じました。


私の身近なユニコーン企業:GO-JEK


さて、私は現在インドネシアの首都ジャカルタに住んでおります。

このインドネシアも、50億米ドル以上の時価総額を持つユニコーン企業に対して、2社ノミネートしていました。GO-JEKとtokopediaです。いずれも規模がますます大きくなっている印象を受けます。

tokopediaはオンラインショッピングサイトで、インドネシアのamazonといったところでしょうか。同僚もよく利用しているようで、オフィスにもよく配達物が届きます。もちろん、仕事とは関係のない私物が届きます(笑)

GO-JEKは元々オンラインのバイクタクシーからスタートした企業で、現在は、タクシー(4輪)、フードデリバリ―、買い物代行サービス、出張マッサージサービス、出張ルームクリーニングサービス、出張カークリーニングサービス、など多岐に展開しています。また、GO-PAYという電子マネーも備えていて、最近ではこれが主要なQRコード決済手段として、インドネシアのあちらこちらで使われています。

なお、シンガポールのユニコーン企業、Grabもインドネシアで大きく展開していて、GO-JEKの最大のライバルとなっています。

ジャカルタにいる間、ほぼ毎日最低2回、多い時は5回以上もこのGO-JEKのバイクタクシーで移動しております。ジャカルタは致命的な渋滞のひどさで有名ですが、車で1~2時間かかるところも、バイクだと、隙間をするすると抜けられ、20~30分程度で着きます。大変強力な味方です。もちろん、GO-JEKのアプリを通じて、車を呼ぶこともできますが、一人の時はほとんど使いません。

KMG, with the biggest Unicorn Company in Indonesia, GO-JEK (paparazzied by my student)
インドネシア最大のユニコーン企業GO-JEKと私(学生による盗撮)

このGO-JEKは、今や完全にインドネシアの一般市民の足となっています。そして、QRコード決済で、街中の至る所で決済ができるので、キャッシュレス生活も促進しています。

私がインドネシアに来たばかりの2012年には全くGO-JEKは見られませんでした。それ以前に、私が来た2012年は、ほとんどのインドネシア人はスマホではなく、ブラックベリーを持っていました。そして、仕事ではBBM(ベーベーエム)と呼ばれていた、ブラックベリー専用のメッセンジャーを使っていました。

それが、2013年ごろから急速にAndroidのスマホが普及し始めました。Instagramもそれまでは、iOSだけだったのが、Android版も公開され、インドネシアでも徐々に普及していきました。先ほどのブラックベリーのメッセンジャーもAndroid版のアプリができ、ブラックベリー離れが加速しました。そして、この流れに合わせるかのように、2015年頃から、このGO-JEKのバイクタクシーもジャカルタで見られるようになりました

GO-JEKはその派手な緑色のジャケットやヘルメットから、すぐに判別がついてしまうので、GO-JEKのせいでお客が取れなくなってしまったローカルのスマホを持たないバイクタクシーのおじさんたちとの縄張り争いや、既存のタクシー会社との争いが頻発しました。しかし、GO-JEKはこれらを乗り越え、2016年頃には完全にインドネシアの主要都市での市民の足として、インフラの一部であるかのように定着しました。私が住んでいたインドネシア第3の都市バンドゥンでも同様で、この頃から自分のバイクを使わなくなりました。

そこから、GO-JEKのアプリが、GO-PAYという電子マネーの支払い機能を持ち始め、キャッシュレスの決済が可能となりました。バイクタクシーを乗る際に、小銭をいちいち払わなくて良くなったので、非常に楽になりました。そして、今度はその電子マネーが、至る所に展開され、レストランやカフェなどで、QRコード決済として使用できるまでに至ったのが2018年頃です。今やカフェでコーヒーを飲む際に、キャッシュを使いません。GO-PAYを使うと100円ぐらいですが、だいたいキャッシュバックが得られるからです。

長くなってしまいましたが、上記のように、Android搭載のスマホが普及したのが2013年ごろからで、GO-JEKの流行が2015年ごろからです。それから、わずか5年ほどという短期間で、QRコード決済に至るまで、スマホアプリを伴った新しい技術が社会に実装されていったのを体感しました。スマホは、もはやInstagramやFacebookのためだけの情報収集ツールではないのです。わずか5年の間で、足となり、財布となり、生活の中心となったのです。

私自身も、新しく実装され続けていく技術を使って、生活を便利にしていくことが楽しくて仕方ありませんでした。一度知ってしまうともう戻ることができないので、インドネシアで信用されていると言われているブルーバードというタクシー会社のタクシーでさえ使うことに多少の抵抗がありますし、なるべくであればキャッシュも持ち歩きたくないと思っています。

さて、GO-JEKがユニコーン企業になっていった理由は何なのでしょうか?


ユニコーン企業を応援できる社会的な若さ


こういった巨大スタートアップ企業の成長の速度には、社会、もう少し言うと、そこの住人一人ひとりが新しい技術をどれだけ受け入れることができるかという柔軟性や許容度の高さ、心の余裕がまず大切だと思います。それから、ほとんどが新しい技術を伴いますので、これらの新しい技術を使いこなすことができるかという技術的なリテラシの高さにも関わってくると実感しています。

もしインドネシアの人々がスマホをほとんど使わず、新しいアプリのインストールに懐疑的で、新しいものを使いこなしていなかったら、どうなっていたでしょう。ローカルのバイクタクシーとの縄張り争いも、既存のタクシー会社の主張をはねのけることも、うまくいかなかったのではないでしょうか。

インドネシアは平均年齢が28歳の若い社会です。日本はすでにそれが46歳です。若いということは、それだけ新しいものに対しての許容度が高いですし、新しい技術に対しても十分高いリテラシを持っています

こういった社会的な若さを増していくことというのが、ユニコーン企業を応援するという意味でも大切なのかな、と、先日GO-JEKに乗りながらふと思いました。

もちろん規制の壁、安全面の壁、様々な壁もあるでしょう。しかし、そちらは社会を構成する人次第で、変えようと思えば、本来はどうにでも変えられるはずです。ですので、やはりまずは社会を構成する人というのが大切な要素なのかなと思っています。

さて、少子化が進み、超高齢社会となった日本で、どのように対処していけば良いのでしょうか。人そのものが物理的に年を取ることは仕方がないでしょう。しかし、精神的にも年を取っていってしまうことには対策を打たなければならないと思います。ユニコーン企業の勃興という観点からも、少子高齢化の解決策を本気で考える必要があるのかなと思いました。