Thursday, May 30, 2019

Global Economy! 平成、日本凋落の30年間

Japan’s Economy Heading for Ruin in Heisei Era... 



Global Economy ~ Japan's Economy
平成、日本凋落の30年間?

2019年04月に中国の深センに視察・訪問をして参りました。そして、2019年05月には弾丸でマレーシアのクアラルンプールにも行って参りました。

その際に、昨今の世界の経済事情をたくさん調べました。特に中国の経済成長の著しさについては深センの視察訪問の一連の記事で、既に一部触れました。

実はそれだけではなく、平成30年の間に何があったのか見てみようと思い、名目GDPを中心にデータを見ていました。結果、悲しいことではあるのですが、この平成30年の間に日本がどれほど経済的に凋落してしまったのかをデータからも見ることができました。今回は、この平成30年の間の日本の経済的な凋落についてデータと共に示します。

事実を知らないことには、問題の解決もできませんから、まずは事実を見ることが大切だと思っております。そのため、うやむやにせず、こうやって記事にしておくことにも意義があると信じております。

令和元年、新しい時代の幕開けです!血を結集させて、新しい日本へと再起動させましょう!


日本が名目GDPで第2位から第3位へ


まずこちらをご覧ください。

平成元年(1989年)から平成30年(2018年)までの、平成30年の間の名目GDPの推移です。世界中の全ての国を示しても仕方がないので、2018年の時点でトップ10だった国を選定し、1989年から30年間の名目GDPの推移を示しました。以下も同様です。

なお、データは国際通貨基金(IMF、International Monetary Fund)の2019年05月01日(令和最初の日)時点での最新データから抽出致しました。


GDP, Current Prices (Heisei Era, 1989 - 2018)
名目GDPの推移(平成時代、1989年~2018年)

上記のグラフから分かることが大きくいくつかあります。

  • アメリカは一貫して世界最強の経済大国
  • 2005年ごろまで:日本が圧倒的に世界第2位の経済大国
  • 2006年~2008年ごろ:中国の飛躍的な経済成長が突然目に見えてきた
  • 2010年:世界第2位の座を中国に奪われた
  • 2011年~現在:日本は中国を追いかけるでもなく圧倒的な差が付けられている


アメリカ・中国の経済大国覇権争いの時代へ


具体的な数値と共に説明を補足します。


〇1989年(平成元年):

第一位:アメリカ(約5.6兆米ドル)
第二位:日本(約3.1兆米ドル)
第三位:ドイツ(約1.3兆米ドル)

名実ともに、日本はアメリカに次ぐ、世界第2位の経済大国でした。


〇1999年(平成11年):

第一位:アメリカ(約9.6兆米ドル)
第二位:日本(約4.6兆米ドル)
第三位:ドイツ(約2.2兆米ドル)

平成が始まってから10年後の世界も同様です。私はちょうど高校生で、日本は世界第2位の経済大国だと教育を受けていました。


〇2007年(平成19年):

第一位:アメリカ(約14.5兆米ドル)
第二位:日本(約4.5兆米ドル)
第三位:中国(約3.6兆米ドル)

中国がめきめきと力を付けてきて、とうとうドイツが中国に抜かれました。日本の経済はドルベースで全く成長していません。


〇2009年(平成21年):

第一位:アメリカ(約14.4兆米ドル)
第二位:日本(約5.2兆米ドル)
第三位:中国(約5.1兆米ドル)

日本はいよいよ中国に追い付かれてしまいました。


〇2010年(平成22年):

第一位:アメリカ(約15.0兆米ドル)
第二位:中国(約6.1兆米ドル)
第三位:日本(約5.7兆米ドル)

日本は中国にあっという間に抜かれました。


〇2014年(平成26年):

第一位:アメリカ(約17.5兆米ドル)
第二位:中国(約10.5兆米ドル)
第三位:日本(約4.9兆米ドル)

中国はぐんぐんと経済成長を続ける一方、日本の経済は停滞し、あっという間に2倍以上の差が付けられました。また、ここまで来ると、アメリカが中国の視野に入ってきたように感じます。


〇2018年(平成30年):

第一位:アメリカ(約20.5兆米ドル)
第二位:中国(約13.4兆米ドル)
第三位:日本(約5.0兆米ドル)

日本と中国の間で3倍近い名目GDPの差がある状態となってしまいました。そして、その差はまだまだ広がっていきそうです。人口が10倍違うので、名目GDPが10倍違ってもおかしくないのかもしれません。しかし、人口差がまるでないかのように、中国の猛追をものともしないように見えるアメリカの底力もさすがです。


日本経済停滞と他の先進国


アメリカと中国の経済成長の著しさを見てしまうと、それに続く日本はもちろん、他の国も動向が見えにくくなってしまいます。そこで、アメリカと中国を除いた他の8ヶ国でグラフを描き直してみました。


GDP, Current Prices (Heisei Era, 1989 - 2018)
名目GDPの推移(平成時代、1989年~2018年)

グラフを描き直してみて、私は再度驚愕してしまいました。

世界で成長しているのは、中国やインドのような新興国と、先進国ではアメリカぐらいなもので、他の国はもう2000年ごろから経済は成熟し、発展が止まっているのだと思い込んでいました。

ところが、グラフを見ると、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、カナダといった日本以外の先進国は、現在に至るまで着実に経済成長を重ねているのです。

上位トップ10の国を見ると、平成30年の中盤以降、経済成長が止まってしまった国は日本だけだったのです。


平成時代の始まりと終わり


平成元年(1989年)と平成30年(2018年)との名目GDPを再度切り取ってみました。


GDP, Current Prices (1989 & 2018)
平成の始まりと終わりでの名目GDP(1989年と2018年)

アメリカは名目GDPで約3倍ほどになっていました。中国に至っては20倍以上の凄まじい成長を遂げています。改めてこうやって見ると、恐ろしい成長です。

一方で、日本はわずか30%ほどの成長でした。これが日本以外の先進国も同様だったら良かったのですが、実際には違いました。


GDP, Current Prices (1989 & 2018)
平成の始まりと終わりでの名目GDP(1989年と2018年)

新興国として成長著しいインドやブラジルは、中国には及びませんでしたが、やはり急激に経済成長を遂げています。

そしてそれ以外の、先進国であるドイツやイギリス、フランスなども100%を超える成長を遂げていたのです。この間、人口は大幅に増えたりはしていないでしょうから、単純に計算すると、給料が2倍以上になっているということですね。

日本の経済停滞は一体何なのでしょうか?


世界経済における日本の発言力の低下


最後に、この上位10ヶ国における名目GDPの割合を示してみました。それぞれ平成元年(1989年)と平成30年(2018年)のデータです。


GDP, Current Prices (1989)
平成元年における名目GDP(1989年)

平成元年(1989年)における名目GDPの各国の割合です(上位10ヶ国だけで集計しました)。

米国が約4割、日本が約2割を占めており、日本とアメリカの2ヶ国で約60%を占めていることが分かります。中国やインドはまだまだ大国の片鱗もありませんでした。

GDP, Current Prices (2018)
平成30年における名目GDP(2018年)

そして、こちらが平成30年(2018年)における名目GDPの各国の割合です(上位10ヶ国だけで集計しました)。

米国の約4割はほとんど変わりませんが、中国が全体の2割以上を占めており、日本が1割以下となってしまいました。現在はアメリカと中国で名目GDPの約60%を占めていることが明確に分かります。

先進国は軒並み割合を減らしていますが、特に日本のプレゼンスは大幅に小さくなりました。


日本人として令和の時代をどう生きるか


データで経済状況を見てみて、非常に厳しい状態にあることを再認識しました。どうしたらよいのでしょうか?

HUAWEIの問題により、アメリカと中国の国家の背景となる主義の違いがだいぶ表面化してきました。アメリカは中国に徹底抗戦の構えでしょう。しかし、それでもなお、中国の発展はまだまだ止まらないと思います。そして、新興国は中国だけではありません。インドやASEAN諸国のさらなる発展、そして他の先進国の着実な発展により、日本のプレゼンスはより一層落ちていくと考えられます。どうしたらよいのでしょうか?

日本では、今後一層働き手が減っていきます。そして、高齢者は一層増え、医療保険や年金の支払いの点から国の財政を圧迫し続けます。この超高齢社会の到来に伴う、少子高齢化の問題は、結局何も着手できないまま平成が終わってしまったように思います。財政の立て直しをやらないことには、日本からどんどん人が離れて行ってしまうのではないかと思います。また移民政策なども含めて、働き手を増やす努力もしなければならないでしょう。どうしたらよいのでしょうか?

日本は、アメリカの四騎士GAFA(Google、Apple、Facebook、amazon)や中国の四騎士BATH(Baidu、Alibaba、Tencent、HUAWEI)のような企業に為されるがままになっています。新しい産業に対応できていないという問題もあります。日本はいまだに製造業中心の産業構造です。製造業をカイゼン、カイゼンで、完全自動化・歩留まり向上に向けて突き進んでいくのも必要なことですが、産業構造の変化にも対応していかなければなりません。人工知能やビッグデータの組み合わせにより、今後の社会は大きく変化していく可能性があります。しかし、日本は実験的にデータを取って活用できるところがなさそうですから、知の集積が全然できていないように思います。どうしたらよいのでしょうか?


私には分からないことだらけです。まずは現実を知ることが大切だと思いますので、今回は名目GDPから見えた事実をまとめてみました。

これまでも、ユニコーン企業についての考察や、深セン訪問の一連の記事でも執筆致しましたが、日本は社会的な若さや新しいものへの許容度の低さが問題なのかなと思います。どのようにしたらこれを変えられるのか、そして、世界から投資や人を集められるようになるのか、考えてみる必要があると強く思います。